日本水産学会会長

ご 挨 拶

公益社団法人 日本水産学会

会長 金子 豊二

 

水産学がカバーする学問分野は多岐にわたり,漁業,養殖,水産食品の製造加工ばかりではなく,水生動植物,生物資源,海洋,環境,エネルギー,水圏生物化学,経済,水産教育など,水圏と人間が関わる様々な分野も含まれます。公益社団法人日本水産学会は,このような水産学に関する学理及びその応用の研究についての発表及び連絡,知識の交換,情報の提供等の事業を行い,水産学に関する研究の進歩普及を図り,もって学術の発展と科学技術の振興に寄与するとともに,人類福祉の向上に寄与することを目的としています。

日本水産学会は昭和7年2月27日に設立され,昭和45年4月1日には社団法人として認可されました。さらに,平成23年3月1日に公益社団法人の認定を受けました。現在,会員(正会員,名誉会員,団体会員,賛助会員,外国会員及び学生会員)の総数はおよそ3,300名で,国内はもとより諸外国からも水産系の最も充実した学会として高い評価を頂いております。今年2020年は創立88周年に当たり,人間で言えば米寿を迎えたところです。

この節目の年の春季大会は,世界を震撼させた新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催が取り止めとなってしまいました。大会の取り止めは,東日本大震災のとき以来,9年ぶりのことです。そのような最中,公益社団法人日本水産学会の代表理事である会長に就任することが決まりました。まさに嵐の中の門出です。しかし,人も組織も苦境を乗り越えることで強く鍛えられるとすれば,本学会が大きく前進する絶好の機会と捉えることもできます。

本学会が公益社団法人の認定を受けてから9年が経ちました。公益社団法人は税制優遇措置が受けられる一方で,法人運営に様々な規制が加わると同時に,会計処理や内部統制に関する事務的負担が大きくのしかかります。本学会は3月1日に新年度が始まりますが,2月の年度末から3月の新年度開始にかけて,事務局では息をつく間もない多忙な日々が続きます。中でも社員総会開催に向けての準備は時間的にも余裕がなく,毎年綱渡り状態を繰り返しています。社員総会成立には正会員の過半数の出席が必要ですが,実際に出席される会員はさほど多くなく,委任状に頼っているのが現状です。このような困難な状況は,代議員制を導入することで改善が期待されます。代議員制では,今まで社員総会で決議していた事項を代議員が審議決定します。代議員制は,本学会のように全国的な規模で活動を行い,会員数が数千人規模で,会員が全国各地に分布する団体に適していると言われています。代議員制への移行以外にも、遠隔会議システムによる社員総会の開催やオンライン決議システムの導入等も,問題解決に向けて検討に値する課題です。本学会の運営改善につきましては、会員の皆様から広くご意見を頂戴し,検討を進めてまいりたいと考えております。

日本水産学会は,これまで水産学界を代表する学術団体として重要な使命を担ってきましたが,その役割は今後さらに重要となってまいります。これから2年間、会長として尽力してまいりますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。