ご 挨 拶

公益社団法人 日本水産学会

会長 佐藤 秀一

 水産学は水産業を代表する漁業,養殖,水産食品の製造加工だけではなく,水圏と人間がかかわるすべての事柄,すなわち水生動植物,生命資源,海洋,環境,エネルギー,水圏生物化学,経済,水産教育などについて,探求する学問領域です。最近では,種々に分野が細分化され,旧来の水産学にとらわれなくなり,基礎科学への進出も著しいようにも思えます。
日本水産学会は,1932年に設立され,会員総数4000人を超える日本の水産学界を代表する団体です。昨年(2017年),創立85周年を迎え,記念事業として,9月に記念式典,国際シンポジウムの開催,新英和・和英水産学用語辞典の出版,85周年誌の出版(準備中)等を行いました。また,今年の3月の春季大会の際に理事会主催のシンポジウム,「日本水産学会のこれから―課題と展望」を開催しました。これらのシンポジウムを通して,日本水産学会のこれからの歩み方について,色々提案がなされました。
特に財政状況,会員数の減少,国際化対応,委員会活動における年代やジェンダーの偏りなどがあげられました。財政状況については,論文の出版に掛かる費用を低減するために日本水産学会誌,いわゆる和文誌を原則E-ジャーナル化し,印刷,発送に掛かる経費を軽減しようと考えています。これにより財政状況が安定すれば,Fisheries Science,日本水産学会の掲載論文の著者負担金の軽減に繋げ,よりよい論文の投稿を促されればと思っております。会員数については,若手,学生,さらにシニアの減少が目立ちます。これを食い止めるために,新たな会員制度の制定が必要と思われます。それから,国際化対応についてですが,先の日本水産学会創立85周年記念国際シンポジウムには外国から300名以上の参加者がありました。また,Fisheries Scienceへの海外からの投稿も増加しております。これは日本水産学会の活動に海外の研究者の方々が非常に強い関心を持っておられるものと思われます。このような状況に鑑み,日本水産学会をさらに国際化へ向けた発展を図りたいと思っております。通常の学会大会におきましても外国からの研究者の参加,発表をスムーズに行えるようにしたいと思います。同様に,海外からのFisheries Scienceへの投稿ももっと増やしたいと思います。また,学会の活動・運営を中心に担っている各種委員会において,若手や女性会員の割合が非常に少ないことがわかりました。今後は日本水産学会の活動をさらに活発にするためにも,若手や女性会員の積極的な委員会活動への参加をお願いしたいと思います。
このように,解決すべき課題は山積みですが,あせらず一つ一つ解決し,日本水産学会をますます発展させていきたいと存じます。最近の水産学がカバーする学問領域は以前とは比べ物にならないほど広範囲になっております。広範囲に発展した水産学の領域を取りまとめるにあたり,中心となる学会が日本水産学会です。これまで以上に水産学界を代表する団体として日本水産学会は重要な使命を担っております。その運営責任者に選任され,微力ではございますが力を尽くす所存でございます。ご協力のほど,よろしくお願い致します。