市民公開シンポジウム:有明海の生物とそれをとりまく環境の現況(2022年11月20日開催)

日本水産学会会員の皆さま

少し先になりますが、11月20日(日)に「有明海の生物とそれをとりまく環境の現況」と題した市民公開シンポジウムを開催します。
事前申し込み不要、対面のみです。
詳しくは下記をご覧下さい。
ご興味のある方はぜひご参加下さい。

主催 コンビナー:木下 泉 (沿岸生態リサーチセ)・川村 嘉応 (佐賀大)・田原 大輔 (福井県大)
日程 2022年11月20日(日) 0900-1700 (0830受付開始)
場所 米原市コンベンションホール
開催趣旨 本年3月25日,福岡高等裁判所は,諫早湾潮受堤防の開門を命じた確定判決(2010年)を無効化し,この確定判決に従わない国側の訴えを全面的に容認した.その理由として,漁獲量の増加傾向,干拓地での営農の定着,さらに開門時での防災上の支障の増大などを挙げている.しかし,これを事実誤認として,漁業者側は4月8日に最高裁判所に上告した.この判決の是非はともかく,その理由には納得し難いものがあることは事実である.なぜなら,漁業の背景にある有明海の生物ならびに環境の変動についてはほとんど言及されていない.これには,原告側(漁業者)とその弁護団は,きちんとした科学的データーを提示できなかったことが推測される.
 これらを鑑みて,今回のシンポジウムは,諫早潮受堤防および筑後大堰の設置以降,継続されてきた科学的な調査・研究を基礎に,生物および環境の現況を整理し,堤防・堰施工以前に行われたであろうアセスメント調査のデーターと比較した上で,生物・環境の変化の有無を明らかにし,今後の有明海の保全のための考え方の一助にすることが目的である.
 今回,コンビナーの力不足もあって,全ての分野を網羅できなかったが,人工構造物の影響ありきではなく,あくまでもフェアで科学的なシンポジウムにしたい.その客観的評価のためにも,他地域の例とも比較せねばならず,今回,島根県中海・宍道湖について川那部浩哉さんに自然保護の哲学も含めた基調講演および長良川河口可動堰の実態の紹介を新村安雄さんにそれぞれ依頼させて頂いた.
その他 プログラム
はじめに 0900 木下 泉
基調講演 0905 汽水域・自然保護の科学と哲学-中海水系を中心にした雑談 川那部 浩哉 (元・琵琶湖博)
0930 有明海の潮流と残差流 速水 祐一 (佐賀大)
0945 植物プランクトンの長期変動 ○吉田 和広・木村 圭 (佐賀大)
1000 海苔生産と栄養塩類 (DIN) との関係 川村 嘉応
1015 筑後川河口域における高濁度水塊と地形・底質変動の関係 横山 勝英 (東京都大)
1030 質疑 座長:川合 真一郎 (元・神戸女学院大)
1100 河川感潮域における仔稚魚の餌としての動物プランクトンの動態 木下 泉 (沿岸生態リサーチセ)
1115 クラゲ大発生は有明海生態系の劣化現象 上 真一 (広島大)
1130 有明海のテナガエビ科幼生の動態 平賀 洋之 (高知県香南市・在住)
1145 諫早湾潮止め後25年間の有明海調査から見たベントス,特に二枚貝類の密度分布の変遷 佐藤 慎一 (静岡大)
1200 東 幹夫のやりたかったこと ○佐藤 慎一・木下 泉
1210 座長:広田 祐一 (水産資源研)
1230 昼食休憩
1400 スズキ有明個体群の初期生活史の特徴 ○日比野 学(愛知水試)・中山 耕至(京都大)・太田 太郎(公立鳥取環境大)・鈴木 啓太(京都大)・田中 克(舞根森里海研)
1415 河口域における魚類の繁殖・初期生態:アリアケシラウオの産卵とシマフグの両側回遊 東島 昌太郎 (山口県)
1430 遡河回遊アンチョビー:エツの生活史の可塑性 太田 太郎
1445 ニシン亜目魚類の比較初期生態 王 暁東 (上海海洋大)・○木下 泉
1500 世界で唯二の降河回遊型カジカ:ヤマノカミ(有明海)とカマキリ(日本海)の比較 田原 大輔
1515 ケーススタディ:長良川における河口可動堰下の汽水域生態系の変容 新村 安雄 (リバーリバイバル研)
質疑 座長:原田 慈雄 (和歌山県資源管理課)
総合討論 1600 司会:木下 泉・川村 嘉応・田原 大輔
おわりに 1650 川村 嘉応
問い合わせ先 田原 大輔 (福井県大)
Email:tahara(at)fpu.ac.jp
(at)を@に変えて送信してください。